観葉植物に発生する害虫|代表的な9種の駆除・予防ポイント
空間をいきいきとした緑で彩る観葉植物は、現在様々なところで入手でき、手軽にインテリアに取り入れられるようになりました。
しかし、観葉植物は土や水を必要とする生きた植物、いわば小さな自然環境が室内に置かれている状態ですので、虫が発生する可能性もあります。
「元気がないと思ってよく見てみると虫が付いている…」
「観葉植物を置き始めてからなぜか虫が室内に飛び回っている…」
というようなお悩みを実際に抱えていらっしゃるかもしれません。
今回は、観葉植物に発生して、観葉植物を弱らせたり、不快感を与えたりする害虫とその対策を紹介します。
観葉植物に発生する代表的な9種の害虫の特徴と駆除方法
観葉植物に発生する害虫といっても様々ですが、次の2タイプに分けることができます。
- ● 観葉植物に直接付いて弱らせる害虫
- ● 土・水・湿気を好む害虫
どちらもイヤな害虫には変わりありませんが、発生場所や対策法に違いがあるので、それぞれのタイプごとに代表的な害虫を紹介しその駆除方法を説明します。
葉や枝に付いて観葉植物を弱らせる4種類の害虫
観葉植物そのものに害を与える害虫です。見た目にも気持ち悪いものも多いですし、放置すると枯れてしまう恐れもあるので早めに駆除しましょう。
ハダニ
発生箇所:葉の裏
発生時期:年中・特に春〜夏
駆除方法:拭き取る・水で洗う・薬剤散布
予防方法:毎日葉水を行う・薬剤散布
見つけ方:葉の表面の白い斑点・蜘蛛の糸のようなもの・黒い小さいゴミが落ちている
乾燥した環境を好むハダニは、葉の裏に付着し、汁液を吸うため観葉植物の葉の色素が抜けて、最悪枯らせてしまいます。
非常に小さくみつけにくいですが、繁殖スピードが速いため早く駆除しないと全ての葉や近くの観葉植物にも被害が及びます。
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「観葉植物につくハダニ対策!見つけ方と駆除・予防方法」
アブラムシ
発生箇所:新芽・葉や枝の付け根
発生時期:春〜夏
駆除方法:薬剤散布
予防方法:薬剤散布
見つけ方:小さい虫が新芽などに群がっている
1ミリ程度の小さな虫で、新芽や葉の付け根の柔らかい部分を好み、群がって汁液を吸い植物を弱らせます。
糖分を含む粘着質の排泄物を分泌するため病気やアリを呼び寄せる原因にもなります。
カイガラムシ
発生箇所:葉の表面・葉や枝の付け根
発生時期:春〜夏
駆除方法:薬剤散布・葉水・拭き取る
予防方法:薬剤散布・葉水
見つけ方:葉の表面や茎に付着している
葉の表面や茎などに張り付き汁液を吸い植物を弱らせ、ベトベトした排泄物は、スス病の原因になります。
特に、白い綿状のコナカイガラムシは、埃と見間違いやすいので注意が必要です。
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「観葉植物に付く白い綿とベトベトの正体は害虫!コナカイガラムシの対策方法」
ナメクジ
発生箇所:土や鉢底に潜む
発生時期:春〜夏
駆除方法:薬剤散布・見つけたら取り除く
予防方法:薬剤散布
見つけ方:葉の表面の穴・テカテカした通り道
屋外で育てる野菜などに被害が多いイメージのナメクジですが、観葉植物にもつくことがあります。
原因としては、外に出した時に付くか、購入前にすでに付いていた可能性があります。
夜行性で、日中はなかなか姿が見えないので、葉の表面に穴が空いていたり、テカテカした通った跡がないか確認しましょう。
土・水・湿気を好む不衛生・不快な5種類の害虫
直接害はないものの、不衛生であったり、飛び回る姿が不快な害虫が来ることもあります。
キノコバエ
発生箇所:土に卵を産み繁殖
発生時期:春〜夏
駆除方法:薬剤散布・土の交換
予防方法:薬剤散布・土を清潔に保つ・水をやりすぎない
湿った有機質の土に卵を産んで繁殖する、小さいハエで、台所に発生するコバエのようにハエ用トラップに引っかかりにくいことが特長です。
一度キノコバエが発生したら、土を無機質のものに変えることがおすすめです。
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チョウバエ
発生箇所:水中・ヘドロに卵を産み繁殖
発生時期:春〜夏
駆除方法:薬剤散布・鉢皿や鉢カバーの交換
予防方法:鉢底に水をためない
水回りで良く見かけるハート形のハエで、観葉植物の受け皿に水が溜まっているとそこに卵を産んで繁殖します。
「ハエ」といっても緩慢な動きなので、飛んでいる成虫は駆除しやすいです。
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アリ
発生箇所:外から侵入し土や植物を歩き回る
発生時期:春〜夏
駆除方法:薬剤散布
予防方法:侵入経路の遮断・害虫の駆除
観葉植物にアリをみかけることがあります。
鉢の中に巣を作るようなケースはほぼありませんが、土の中の虫や、観葉植物の樹液や害虫・害虫の排泄物目当てで寄ってくるようです。
人を噛むこともあり、小さいアリでも痛痒くなりますので、対策しておくことがおすすめです。
トビムシ
発生箇所:土に発生
発生時期:春〜夏
駆除方法:薬剤散布
予防方法:土を清潔に保つ・水をやりすぎない
土に発生して表面をピョンピョンと飛びまわる小さい虫です。
実害はありませんが、気持ち悪いという場合は駆除をおすすめします。
ゴキブリ
発生箇所:家の中や外から侵入
発生時期:春〜夏・鉢底で冬眠
駆除方法:薬剤散布・トラップ
予防方法:鉢底に水をためない・ブラックキャップやトラップを利用する
家の中の嫌われ者、ゴキブリ。湿度を好みますので観葉植物のある環境は彼らにとっても住みやすくなります。
また、肌寒い日が続く春や、冷え込む冬には暖かい鉢底や鉢の中に潜んでいることもあり。最悪の場合卵を産み付けられてしまう可能性もあります。
観葉植物に寄り付かないように、トラップやブラックキャップなどで対策しておきましょう。
害虫の発生を防ぐための5つのポイント
害虫の発生を防ぐために押さえておきたい5つのポイントを紹介します。
・こまめに害虫チェック
・葉水を与える
・受け皿の水は捨てる
・無機用土・無機肥料を使う
・部屋の換気をしっかり行う
こまめに害虫チェック
一番大切なのは普段から観葉植物の様子を気にかけ、虫が付いていないか確認することです。
特に夏場は害虫が発生しやすいので、注意しておきましょう。
【観葉植物の害虫チェックリスト】
- □新芽
- □葉の裏
- □枝・葉の付け根
- □鉢の裏・鉢カバーの中
- □葉に穴があいていないか
- □水が溜まっていないか
葉水を与える
ハダニやカイガラムシなど水を嫌う害虫も多いですので、霧吹きで葉の表裏に葉水を与えましょう。
ベランダや浴室でシャワーで全体に水をかけるのもアリです。
受け皿の水は捨てる
受け皿に水が溜まっていたり、土が湿っていると害虫の温床となりますので、たっぷり水をやったあとは、受け皿の水を捨てましょう。
無機用土・無機肥料を使う
腐葉土や堆肥は、虫の餌となり住みやすい環境を作り出してしまいます。できれば虫の餌になりにくい無機用土や無機肥料を使用しましょう。
部屋の換気をしっかり行う
ジメジメした環境を好む害虫も多いので、定期的に部屋の換気を行うことがおすすめです。
そのときに外から害虫が忍び込むリスクもありますので、換気後は葉の状態をチェックしておきましょう。
害虫がつきにくい観葉植物の選び方
そもそも害虫がつきにくい観葉植物を選びたいという方もいらっしゃいますよね。
ここでは「品種」と「株(鉢や枝葉の状態)」の2つの側面から選び方を紹介します。
害虫のつきにくい観葉植物の品種は?
害虫がつきにくい観葉植物はズバリ存在しません。
土と水で育つ生きた植物である以上、観葉植物の害虫を完全に対策することはむずかしいのです。
土と水だけでも虫は寄ってきますし、乾燥を好む害虫もいます。
虫が嫌うような匂いのある植物や、トゲの多い植物は、そもそも室内に置く観葉植物として適していないので、出回っていません。
丈夫と言われている品種でも、新芽は柔らかいので、害虫たちの餌食になってしまいます。
害虫対策がしやすい株の5つの特徴
選ぶ段階で次のような状態の株を選ぶことがおすすめです。
- ・害虫チェック(前章参照)を行って問題がない
- ・大きすぎず全ての枝葉が目の届く範囲にある
- ・葉が大きく枚数が多すぎない
- ・無機用土を使っている
- ・鉢と受け皿が別、または鉢カバーの中を確認しやすい
要するに、害虫が付いていない管理しやすい株を選ぶと、今後のお世話がぐんと楽になります。
観葉植物の害虫に悩まされたくない方におすすめの方法
おしゃれな観葉植物でも生きていて土や水を使っている限り、絶対に害虫を寄せ付けないことは難しいですので、対策が必要です。
ご家庭ですと気に入ったものを選び大切に育てることが一番ですが、オフィスや飲食店などに置かれる場合、仕事もしながら植物のお世話をするのは大変ですよね。
特に飲食店の場合、虫が発生してしまうと一大事です。
そのような環境ではレンタル観葉植物やフェイクグリーンがおすすめです。
【関連記事】
「フェイクグリーンと本物の観葉植物はどう違う?メリット・デメリットと効果を比較」
それぞれにメリットはありますが、本物の植物でイメージアップをしたいという場合はレンタルがおすすめです。
●レンタルのメリット●
- ◎温室で害虫がつかないようにしっかり管理されている
- ◎出荷前に害虫がいないかチェック
- ◎出荷前に虫やカビを防ぐために消毒
- ◎レンタル中に害虫がわいたら交換してもらえる
(※植木屋松正の観葉植物レンタルの場合)
ご自身での管理が難しい、虫はできるだけ見たくない…という場合はぜひレンタルの利用もご検討くださいね。